長野県伊那市

【NTT XR】地域活性化への新たなアプローチ~高校生によるVR技術を用いた地域の魅力発見の取組事例~

  • 公共・自治体
  • 301~500人
  • 学習支援
  • 組織開発
長野県伊那市
長野県伊那市
業界・業種自治体

未来を織りなす 創造と循環のまち 伊那市。 長野県の南部に位置し、南アルプスを境に山梨県と静岡県に接し、中央アルプスを境に木曽地域と接しています。東に南アルプス、西に中央アルプスという二つのアルプスに抱かれ、その間を流れる天竜川や三峰川沿いには平地が広がり河岸段丘もみられます。市内を南北にはしる中央自動車道や国道153号などの幹線道路が整備され、東京・名古屋のほぼ中間に位置しています。

技術進化に伴い、近年VRは飛躍的に進化し、生活の様々なシーンで活用される例が増えてきました。NTT ExCパートナーでは、地域や郷土の魅力を発信するコンテンツ制作や学校教育におけるICT活用型プログラムの提供など、VR技術を用いた多数のサービスを提供しています。同時に、「学び」を活かした「社会課題の解決」にも積極的に取り組んでいます。そこで、本コラムでは地域活性化と映像表現教育を掛け合わせた長野県伊那市様のVR活用事例をご紹介します。

少子化と地方にとどまる若者減少により地域活性化が困難に

総務省統計局の発表によると、日本の総人口は12年連続で減少を続けています。特に、経済活動の中心を担う生産年齢人口(15~64歳)が全体に占める割合は59.4%(2022年10月時点)と、過去最低水準に落ち込んでいるのが実情です。

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また、都道府県別転入超過数を見ても37道府県で転出超過となっており、都市部への人口流出が増加傾向にあると言えます。

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進学や就職を機に若年層が都市部に移っていくと、地域活性化を推進していく担い手が減ることとなり、地方部ではますます厳しい状況に陥りやすくなります。そもそもこのように都市部への人口流出が増加する背景として、若年層が地元の魅力に気づいていない、魅力を理解できていないといった要因もあると言えるでしょう。そのため、高校卒業後に域外へ進学したり、就職をしたりしてそのまま戻ってこないケースが増えていくのです。自分たちが生まれ育った場所の魅力を知る機会がなく、発信力の強い都市部の魅力に多く接していれば、「都市部で働きたい、都市部に住みたい」と思う若者が増えていくのは当然の流れとも言えるでしょう。

このように、地域活性化を推進するための課題が数多くある中で、特に若年層を対象とした工夫を凝らした施策で成果を出す自治体も生まれています。

高校生が地元の魅力を“楽しく”体感することが大切


若年層の流出をとどめ、地域に定着する働きかけとしては、早い段階から地元の魅力に気付き、親しむ機会を持つことが効果的です。特に進学や就職で地域を離れる前の高校生は、地方の将来を担う若手として重要なターゲット層と言えます。

一方で、彼らにとって興味や関心を呼び起こすための工夫も必要になってきます。ただ「地元に残って地域活性化を推進してほしい」と呼びかけるだけでは、なかなか響きません。若年層の心をつかむには、地元の魅力を“楽しく”体感できることが大切なのです。

では、近年の若年層が楽しいと感じる体験とは何でしょうか。昨今の高校生は物心がついた頃からインターネット、SNSが当たり前にある「ソーシャルネイティブ」世代です。また、スマートフォンやタブレットを使い、カメラ機能や画像、動画編集アプリなどを使いこなす高校生も少なくありません。つまり、自らを表現して発信することが当たり前に定着している世代なのです。そこで、彼らの興味や関心を引く方法のひとつとして、「最新技術のVR映像で表現を学びながら、地元の魅力を体感してもらう」ことが効果的といえます。

実際に、NTTExCパートナーと組み、「VR技術を用いた映像表現教育と地域活性化」に挑んだ自治体事例として長野県伊那市様のケースがあります。具体的にどのような事例だったのかご紹介しましょう。

事例紹介:長野県伊那市様

高校生たちが自分たちで地元の魅力を見つけVR映像で表現

概要

この取組は、長野県伊那市様・地元の高校5校・NTT ExCパートナーがタッグを組んで実現しました。長野県伊那市様では、以前より医療や公共交通機関などでICTを活用した先進的な行政サービスに取り組まれてきたほか、XRを活用した郷土の歴史承継やお花見VRツアーなどにも注力されています。こうした活動をさらに広げていく一環として、地元高校の魅力をVR映像化し、地域内外に発信していくことになったのです。
今回、伊那市近郊の高校を対象に募集を行ったところ、定数を超える応募があり、うち5校を対象に、VRによる学校紹介映像を高校生自らが企画、撮影、制作する体験学習イベントを実施しました。

イベント当日、各校から3~4名の高校生が代表として伊那市役所会場に集合し、VRに関する基礎知識、360度映像の特長を活かした撮影方法をはじめ、各種撮影・編集技法を学びました。そのうえで、実際に360度カメラを利用しながら、それぞれの学校の良さを紹介する動画の構想をまとめました。

全体カリキュラム

概要

時間

内容

事前動画学習1時間程度
  • 映像制作やVRの基礎知識を学習
集合研修①半日
  • 360度映像の制作について学習
  • 機器の操作確認
  • 企画・コンテの制作
撮影・編集1ヵ月
  • 生徒による撮影
  • プロの映像編集担当者との編集会議
集合研修②半日
  • 作品鑑賞
  • 相互フィードバック

 

360度カメラを手に試し撮影をしている受講生
 

学校のどこを撮影するのか議論する受講生
 

関係者の声

上伊那広域連合 地域振興課
キャリア教育コーディネーター郷土愛プロジェクト 傳田様

生徒が自身の学校紹介を検討する際に、真剣にディスカッションしている様子や、終わった後の反応を見ると、学校行事やテストで忙しい中、どのような映像が完成するのかが楽しみ。カメラを楽しそうに操作している生徒たちが印象的だった。
 

伊那市 企画部 企画政策課様

「撮影期間が短い中で、各校特色のある映像が出来上がっており、非常に素晴らしかった。参加して下さった学生の皆様が、全体のストーリー検討から撮影まで良く考えながら制作したのが分かる内容でした。」

VR映像制作と教育ソリューションの豊富な実績


本事例は、地域活性化に課題を抱える長野県伊那市とVR映像制作と教育ソリューションの実績が豊富なNTT ExCパートナーならではの技術と知見を活かした産官学連携の事例です。地域活性化には様々な方法がありますが、VRという最新技術を用いて高校生たちも楽しく学びながら、地元の魅力を発見する良い機会となりました。

また、制作されたVR映像を自治体のWebサイトやYoutubeなどを通じて広く社会に発信することで、長野県伊那市の地域PRにもつながっています。地域活性化、高校生たちの学びと郷土愛醸成、地域のPRなど、多彩なメリットを創出する事例となりました。

NTT ExCパートナーではVR技術を活用した様々なソリューションを提供しています。ご興味のある方は、以下のページをご覧ください。

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