企業がエンゲージメント向上に取り組むメリットとは?企業事例と共に解説

企業がエンゲージメント向上に取り組むメリットとは?企業事例と共に解説

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近年、注目を集める、「自分が所属する組織と自分の仕事に熱意を持って、自発的に貢献しようとする社員の意欲」を表す「エンゲージメント」という考え方。言葉自体は浸透してきている一方で、実際にエンゲージメント向上に取り組む企業はまだまだ少ないのが現状です。それは、エンゲージメントがなぜ重要なのか、何をすればいいのかを理解しきれていない企業が多いからとも言えるでしょう。そこで、本コラムではエンゲージメントのメリットや重要性を企業の取り組み事例と共に解説します。

日本のエンゲージメントは最低水準…。調査を実施する企業は30%未満

まず、現在の日本企業におけるエンゲージメントにまつわる状況を見てみましょう。
アメリカの調査会社ギャラップ社が2023年に発表した調査レポート「2023年版 ギャラップ職場の従業員意識調査:日本の職場の現状」によると、「日本の職場でエンゲージしていると答えた従業員(エンゲージメントが高い従業員)」はわずか5%と、世界的にみても最低水準であることがわかりました。さらに4年連続で過去最低を記録しており、エンゲージメントという言葉の浸透とは裏腹に、従業員のエンゲージメントが上がっていない現状が浮かび上がってきます。何をすればエンゲージメントが向上するのか、理解が進んでいる企業がまだ少ないということがわかります。

さらに、エンゲージメント向上の取り組みとして重要度の高いエンゲージメント調査の実施状況は、「人的資本経営調査レポート(エンゲージメント編)」(パーソルホールディングス)によると、全体で29.3%、中小企業ではさらに少なく16.5%という結果が出ています。エンゲージメント調査を行なっている企業が3割にも満たないということから、具体的な取り組みを行なう企業はまだまだ少ないと言えます。

エンゲージメント向上に取り組むメリットは生産性向上と離職率低下

こうした現状の背景には、エンゲージメントの重要性を理解しきれていない企業が多いことが推測されます。では、エンゲージメントに取り組むことで企業にどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

生産性が向上する

エンゲージメントの高い組織というのは、一人ひとりが仕事に熱意を持ち、仕事や会社への貢献意欲が高い従業員が多い状態と言えます。こうした社員が多い職場では、コミュニケーションの活性化、新しいチャレンジの増加、チーム内での相互支援などが生まれ、高い成果を生み出しやすくなります。結果として、組織の生産性も向上され、事業の成長にも繋がっていきます。

逆に、エンゲージメントが低い組織はどうでしょうか? 上司や部下、同僚同士とのコミュニケーションがうまくいかず仕事の効率が低下、新しいチャレンジを行なう人がいない、チーム内での助け合いが生まれない…など生産性が低い状態に繋がりやすくなります。

 

離職率の低下

エンゲージメントの高い状態の従業員は、高い成果を出しやすくなったり、いい雰囲気を周囲に生み出すなど、その会社で働くことに意義を感じやすくなるというメリットもあります。また、自分が目指す方向性と、会社が目指す方向性が揃っていることで、長期的な視点で同じ会社でのキャリア構築を考えやすくなります。

逆に、エンゲージメントが低い従業員は、成果を出しにくく、悪い雰囲気を生み出すようになり、当事者意識も希薄になります。こうした従業員は「上司や同僚、会社のことはどうでもいい」「自分がやりたいことができる会社に行きたい」という考えが強くなり、離職率が高まってしまうのです。

エンゲージメント向上には何をすればいい?2つの企業事例をご紹介

以上のように、エンゲージメント向上に取り組むことには、大きなメリットがあります。では、実際にエンゲージメント向上に取り組むためには、何を行なえばいいのか。エンゲージメント向上に取り組む2社の事例を参考にしてみましょう。

 

 

事例1:「株式会社メルカリ」~チーム全員でエンゲージメントを高める方法を話し合う~

株式会社メルカリは、人材・組織開発の観点で、エンゲージメント向上に取り組んでいます。代表的な施策の1つとして「Engagement Survey」というツールを用いて、年に数回社員にエンゲージメント調査を行い、組織状態を可視化するという取り組みがあります。

さらに、ただ調査をして終わるのではなく、調査結果をもとに、よりよいチームになるための行動をチーム全員で話し合う「Feedback Meeting」にも積極的に取り組んでいます。このFeedback Meetingでは、調査結果をチーム全員で読み解きながら、自チームの強みや弱み、どうすればよりよいチームになれるか意見を出し合います。こうした、会話を重ねること自体も自律性を育み、チーム、組織への貢献意欲を高めることに繋がります。

そして、話し合いの結果出てきたたくさんのアイデアを付箋に書いて張り出し、次はチーム全員で改善のための取り組みを決めていきます。調査をもとに、次の行動を決めるといったサイクルはエンゲージメント向上においてとても重要なポイントです。

さらに、参考になるのはこうした話し合いをチーム全員で行なっているという点です。エンゲージメントというのは、従業員一人ひとりが向き合いながら、どう高めていけばいいのかを考えることがとても重要です。管理職一人が考え、それを一方的にメンバーに指示して取り組ませるような方法では、従業員のエンゲージメント向上には繋がりません。いかにして、チーム全員で取り組んでいくかも重要なポイントとなるのです。

メルカリが事業を成長させている背景には、こうした従業員同士のオープンなコミュニケーションがあることがわかります。

参考サイトはこちら

 

事例2:「株式会社Arinos」~「感謝する、褒める」を意識してエンゲージメントが向上~

メルカリのような大手企業だけでなく、中小企業の中にもエンゲージメント向上に取り組む企業はあります。その1つが、DX推進事業や事業推進事業を行なう株式会社Arinos(従業員数約60名)です。Arinosでは、エンゲージメント調査を実施しており、「同僚と褒め合う」という項目が他の項目と比べて低く出てしまっていました。

コンサルティングという職種が4割を占める職場の中で、活発な議論を行なう一方で、相手に感謝したり、称賛したりする文化が同社にはなく、コミュニケーションが希薄になっていることが課題として挙がりました。そこで、社内にコミュニケーションツールを導入し、従業員同士での感謝や称賛が増えるような取り組みに着手しはじめます。

その結果、郵便物の仕分けといった小さな業務を行なってくれている社員への感謝・称賛を送ったり、新入社員を組織全員で歓迎するようなメッセージを送るなど、これまでに不足していたコミュニケーションが生まれることに。同時に、エンゲージメント調査のスコアも増加していきました。

このように、エンゲージメントの向上は大きな施策を打つだけでなく、日頃のちょっとしたコミュニケーションを変えるだけで達成されることもあります。「ありがとう」「すごいね」などちょっとした声かけを増やすことも、エンゲージメントに繋がっていくのです。

参考サイトはこちら

従業員のエンゲージメント向上は、エンゲージメント診断から始まる

以上、エンゲージメントのメリット、企業による取り組み事例でした。エンゲージメント向上の重要性は理解したし、具体的な取り組み方事例も知ったけど、何から始めればいいかわからない。そんな企業にはエンゲージメント診断からスタートすることをオススメします。 

実際に、事例で紹介した2社は、いずれも自社のエンゲージメントがどのような状態か、調査を通じて診断を行なっています。

エンゲージメント向上は、ただ感覚的に状態を捉えるのではなく、数値化することで定量的に把握することが大切です。そして、ただ定量化するだけで終わるのではなく、結果をもとに、改善策を考え、実行に移すことも重要になってきます。

エンゲージメント向上に取り組みたい企業は、まずエンゲージメント診断から始めてみてはいかがでしょうか?

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