【NTT XR】後を絶たないハラスメント被害の打ち手に~被害者視点を体感し、学ぶ。VRを活用したハラスメント研修~

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2022年4月より、改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)がすべての企業に適用されるようになり、ハラスメントに対して何らかの施策をしなければならない、という意識が醸成されてきました。ところが、近年では民間企業・行政機関において責任ある立場にある人がハラスメントを起こすニュースも散見されており、2年が経過しようとする現在でもなお、いっこうに被害件数は減っていないのが実情です。

ハラスメント対策には、“被害者の視点で受け止める”ことが重要と言われています。民間企業において厳しいハラスメント対策が講じられている中、行政でも様々な取り組みがなされています。本記事では、ハラスメントの被害が後を絶たない背景の解説と共に、より効果を高めるためにVRを活用して取組を実施された栃木県那須塩原市様の事例をご紹介致します。

目次

2022年4月からパワハラ防止法が全社に適用も、被害は後を絶たず

多くの課題があるハラスメント対策 51.9%が「直近1年間でハラスメントを感じた経験がある」

パワハラ防止法は、企業に対して防止策の実施を義務付け、適切な措置を講じなければ是正指導対象となる法律です。2020年6月から先んじて大企業を対象に施行され、2022年4月からは中小企業もその対象となりました。現在は民間企業すべてが適用対象となっていますが、残念ながら期待されたほどの効果が出ていないのが実情です。

Job総研(株式会社ライボ)の『2023年 ハラスメント実態調査』によると、「職場でハラスメントを感じた経験がある」と回答した人は354人中232人で全体の65.8%、「直近1年間でハラスメントを感じた経験がある」は354人中233人で全体の51.9%に上りました。さらに、この233人の回答者のうち「月に数日以上被害を受けている」と回答したのは48.9%という結果に。

ハラスメントの種類としてはパワーハラスメントが最も多く、この結果から見ても、企業によるハラスメント対策において課題があることが分かります。

約69%はハラスメント対策が「不十分」と実感。対策の鍵は被害者視点の理解

こうした現状に対し、企業側としても対策を取っていないわけではありません。同調査より「職場でのハラスメント防止対策がある」という回答は60.5%と過半数ですが、対策をしている企業に属する人のうち「不十分な対策である」との回答が69.3%という結果になりました。対策はしているものの、物足りなさを感じている人が多いという現状が浮き彫りになってきます。

相談窓口の設置やガイドラインの周知、社内向けの研修や教育の実施など様々なハラスメント対策がありますが、加害者側になる可能性の高い管理職の人材育成や意識改革もとても重要なポイントなので、取り組んでいる企業も多いかもしれません。「ハラスメントは良くないことであり、してはいけない」という理解は一定広まっているでしょう。一方、自分の言動が相手から見た時にハラスメントに当たる言動であるかどうかは、被害者心理の理解が不十分では難しいことです。そのため、単なる教育ではなく、被害者と加害者の間に存在する意識のギャップをどのように埋めるか、がより重要となってきます。

こうした感覚を学ぶには、単なる座学ではなく自ら体験し、体験をもとに考える参加型の研修が有効です。栃木県那須塩原市様では、法施行対象外の行政であっても、ハラスメント事案を発生させることがあってならないという想いから、適切な対策を求められていました。そこで、より高い効果が見込まれるVR活用型の研修に着目。NTT ExCパートナーが制作したVRコンテンツを活用し、管理職に対するハラスメント研修に取り組みました。

事例紹介:那須塩原市様 管理者向け「パワーハラスメント防止研修」でのご活用

概要

パワーハラスメント防止研修の様子

栃木県那須塩原市様の職員(管理職 76名)に対して実施するパワーハラスメント防止研修が令和4年4月下旬に那須塩原市庁舎で合計6回行われました。

ハラスメント防止法施行前から市職員に向けてハラスメント防止の施策を実施している那須塩原市様において、今までより被害者視点に立ったより臨場感のある映像を活用し、当事者意識を高めることで各種ハラスメントの防止につなげようと初めてVRを活用した研修を実施しました。

研修実施にあたり、外部の研修講師による講義ではなく、同市の総務課職員が研修の講師を担い、より現場の実態を反映した「職員の、職員による、職員のためのハラスメント学習」を目指して実施。 参加型のカリキュラムとして、より働きやすい職場づくりを考える機会となりました。

こだわり:外部講師に頼らず、総務課職員自らが講師を務め、受講者とのコミュニケーションを大切にした

那須塩原市のご担当者様に、本研修のこだわりについてお聞きしました。

担当者:従来、職員向けの研修は外部の事業者に委託して実施することが多かったのですが、今回のハラスメント研修では、やり方や内容を大幅にリニューアル。講師は、同職員が実施しました。内容面では、カリキュラムをはじめとした教材をNTT ExCパートナーが提供する「ハラスメント研修VRパッケージ」を活用し、従来は座学での講義が主流であった研修内容をVRという体験型・参加型のスタイルへ見直しを行いました。

講師を那須塩原市の総務課職員が担当することで、同市職場特有の課題や過去の事例などを織り交ぜた独自のカリキュラムへカスタマイズし、研修内容を自分のこととして考え、職場での実践に繋がるよう全体の設計を行いました。

同市職員が研修講師を担当するうえで、初めは教材を活用して講義を行うことに不安がありました。しかし、届いた教材を確認すると、講師用のマニュアルやカリキュラム、教材など、すべての研修素材が揃っており、DIYで研修講師が行えるパッケージとなっていることが分かり、不安なく研修講師を担当することができました。

教材の素材はパワーポイント、エクセルで提供されるので、自組織に合うように内容をカスタマイズして実施。VRを活用した360度映像は、全23種類あるため自組織に合ったパワハラ、マタハラなどの映像4種類を選択しています。

管理職を対象としているため、基礎的な知識である座学は極力減らし、今回の特徴であるVRによる被害者の視点に立った映像を活用し、出来るだけ多く被害者体験をする時間を設けました。映像視聴をした後にグループによるディスカッションを実施することで、参加者同士の気づきを共有し、よりハラスメントへの意識向上に繋げたいです。

研修の様子と参加者の声:実施前からVRを利用するので職員の話題にはなっていた

パワーハラスメント防止研修の様子

つづいて、研修の様子と参加者の声について、ご担当者様に伺いました。

担当者:今までの研修とは違ったハラスメント防止研修であったため、参加者が興味をもって参加したと思います。 VR体験後のディスカッションでは、活発な意見交換がされました。 実際に当事者体験をすることで、「職場でこれはひどいよ」などの意見をはじめ、「後ろの女性の表情が嫌そうだった」など、環境型ハラスメントに対する意識が伺えました。

研修の参加者からは「当事者体験を通じてハラスメントによる不快感を学べた」「VRを使って体験できたことで理解が深まった」「職場全体がVRで見れるので周りの人が嫌な顔をしているのが分かった」といった感想があがりました。

VR技術を活用した様々なソリューション

VR技術を活用した様々なソリューション

本事例はNTT ExCパートナーの強みである、VRソリューションと各種研修の設計、運営実績を組み合わせた事例です。企業や行政など様々な組織やシーンで活用ができるVRハラスメント防止研修は、VRの利点を活かした臨場感があるので、ハラスメント対策にも高い効果が期待できます。また、効果を高めるためにはコンテンツだけではなく、どう全体に組み込むかの全体設計も重要です。弊社ではそのようなご提案や、VR等のICTを活用するのが初めての方に対してもスムーズに進めるための進行サポートも実施致します。

NTT ExCパートナーでは、VR技術を活用した様々なソリューションをご提供しております。ご興味のある方は、関連ソリューションページをご覧ください。