【NTT XR】“体験できるVR”で障がい者の日常を理解。当事者の困りごとを“体感”し、真に寄り添った支援につなげる

導入事例のご紹介 “体験できるVR”で障がい者の日常を理解。当事者の困りごとを“体感”し、真に寄り添った支援につなげる

【NTT XR】“体験できるVR”で障がい者の日常を理解。
当事者の困りごとを“体感”し、真に寄り添った支援につなげる

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近年、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)やSDGsなどの思想が広がり、世に浸透してきているなかで、障がい者支援ボランティアへの関心も高まってきています。その一方で、当事者のお困りごとや日常生活の状態などを具体的に理解や把握ができず、当事者に寄り添った支援や伴走が難しいという声も少なくありません。当事者と支援者の間にある見えない壁が、時としてボランティアスタッフの自信を揺るがし、積極的な活動を抑制したり、活動自体をやめてしまったりするケースもあるようです。事実、障がいを持っている人を「手助けしたことがない理由」として、「困っている障がい者を見かける機会がなかったから」の次点に、「どのように接したらよいかわからなかった」「自分が何をすればよいかわからなかった」と回答したというデータもあります。(内閣府政府広報室「障害者に関する世論調査」)

こうした課題に対し、当事者の日常を再現して理解をより深められるICT技術(VR)と、当事者の登壇によって障がい者の心のうちを理解する機会を組み合わせ、ボランティア活動のさらなる広がりを目指すイベントを、台東区社会福祉協議会様とNTT ExCパートナーが共同開催しました。

目次

障がいの状態を座学だけで理解することの難しさ

障がい者支援ボランティアにおいては、合理的な配慮を行い、当事者が持てる能力を引き出せるような支援を行うことで自己効力感の向上に繋がっていきます。そのためのカギとなるのが、障がいの状態を適切に理解することです。例えば、ガイドブックや専門書を読んだり、各種研修やセミナー、動画を中心としたeラーニングサービスなどで学んだりしていきます。

しかし、こうした座学では概論を理解できるものの、当事者目線における日常生活での具体的な困りごとや、当事者にとって支援が本当に適切かどうか、なかなか身をもって理解することは難しいのではないでしょうか。その結果、当事者が求める支援に至らないことがあるほか、想いのある支援者が心的負担を感じて積極的にボランティア活動をできないだけでなく、活動自体をやめてしまうケースもあります。

また、過去の調査では、支援者が障がい者を「弱者」という考えのもと活動したことで、意識のずれを生じさせたり、結果として障がい者が自分でできることもやらなくなってしまう、という事態に陥ってしまったといった事例も報告されています。(平成14年度文部科学省委託調査地域におけるボランティア活動活性化のための調査研究報告書

このように、当事者が求める支援を行うには、座学だけでは物足りない可能性もあるのです。

当事者が求める支援の学びには「身をもって体験」することが重要

当事者理解を深める2つの方法

座学の学びだけでは対応が難しい「当事者が求めること」を学ぶには「①当事者から話を聞く」と「②自分が身をもって体験する」という2つの方法があります。よく取り入れられているのは①の方法で、支援者が当事者とコミュニケーションをとって、感じ方を見聞きすることで、当事者目線の考えに触れます。

それに加えて②の方法も実施できれば、支援者自身が実体験を通して当事者の感覚を体感し、自らの体験を通して当事者への配慮を考えることができます。疑似体験の感覚から「自分が当事者だったら?」と考え、実際の支援に繋げていけるのです。

では、「自分が身をもって体験する」という方法を実現するにはどうすればよいのでしょうか?

台東区社会福祉協議会様では、支援者向けに真の理解促進と、そこからのボランティア活動普及を目指し、VRを活用した「視覚障がいVR体験イベント」を企画。ICTを活用した研修に知見があるNTT ExCパートナーと共同で開催しました。

事例紹介:台東区社会福祉協議会様
支援者が直面する困りごとをVRで疑似体験し、合理的配慮を考えるイベントを開催

概要

台東区社会福祉協議会様とNTT ExCパートナーは、障がい者サポートに関心を持つ方に向けた体験イベント「視覚障がいをVRで考える」を共同で開催しました。

コロナ禍(当時)で障がい者支援サポートの活動も制限されるなか、新たなサポーターとのつながり作りや視覚障がいへの理解促進を目指し、VRを活用した体験型イベントとして実施されました。VRという目新しさに加え、VR映像でしか実現できない障がい者視点の体験など、新たな福祉イベントの形を提示しています。

背景:支援サポーターの増員に課題感があり、新たな施策が必要だった

台東区社会福祉協議会様では、公共施設でのチラシ配置を主な支援サポーターの増員施策としていました。しかし、コロナ禍(当時)による活動制限などもあり、新たな施策を用いて支援サポーターの輪を広げることが喫緊の課題に。そこで、VRを用いた新たなつながり作りに着目しました。支援サポーターの活動周知や視覚障がい者への理解促進などを目指し、体験型イベントの開催へと至りました。

イベント内容:講師によるセミナー、VR体験、グループディスカッションなど能動的な参加を促すイベント設計

以下が、実際のイベントの内容です。視覚障がいを持つ当事者を講師に招き、参加者はVRを通じて視覚障がいを体験します。そして、その体験を感想で終わらせないために鍵となるのが、参加者同士のディスカッションです。「こういう時はどうすればいいのだろう?」等と意見交換することで、参加者は考えを深め、日常で生かせる学びとして持ち帰ることができるのです。

概要 内容
全体説明 実施内容、及び講師の紹介
様々な視覚障がい HMDを利用して実際に当事者の感覚を体験
何気ない職場の風景(社内会議の模様)が、各障がいの当事者からどのように見えるか
  • 視覚障がいと言っても様々な視覚障がいがあり、具体的にどのような視覚障がいがあるのかを説明
  • 視野障がい(視野狭窄・中心暗転)、色覚障がい、光覚障がい
  • 全盲(白杖、盲導犬)
VRで体験
  • 視野障がい(視野狭窄・中心暗転)
  • 色覚障がい
  • 光覚障がい
視覚障がい者への配慮について考えるグループディスカッション どのような配慮ができるのかを考え、また実践していることを紹介しあう。
  • 参加者を5名4グループに分けディスカッション
発表
  • ディスカッションで出た意見を発表(時間に応じ複数グループ)
講師から
  • 当事者としてはどのようなことに配慮してほしいか。
    助かったエピソード、困ったエピソードの紹介
開催当日の様子
開催当日の様子
  • 中心暗点
    中心暗点
  • 色覚異常
    色覚異常
  • 光覚異常
    光覚異常

映像イメージ。様々な種類の視覚障がいを体験することで理解を深めていく

こだわり:運営スタッフによる準備や操作の練習などは不要。手軽に行えるVR体験会

体験イベントの企画はNTT ExCパートナーが行い、プレスリリースの配信などのプロモーション施策も並行して実施しました。

VR一括制御システムを用いることで、専門的な知識や準備は一切必要なく、VR体験イベントを手軽に開催できます。イベント当日も、NTT ExCパートナーのスタッフが機材の持ち込みとセッティング、更にはVRシステムの操作まで行うので、イベント運営のスタッフは参加者の案内に集中できます。

VRシステム使用は専門スタッフにおまかせでOK。面倒な準備は不要。」機材はイベント当日にNTTLSスタッフが持ち込み。VRのセッティングはHMDを配布するだけ。タブレットによる端末操作もスタッフが実施。

VRと研修・イベント企画を組み合わせたソリューション

本事例は、NTT ExCパートナーの強みであるVRソリューション、ICTを活用した研修の企画・運営実績を組み合わせた事例となりました。台東区社会福祉協議会様の課題であった、障がい者サポーターの広まりにおいて成果を出すとともに、より深い障がい者理解の実現にも繋がりました。

NTT ExCパートナーでは、障がい者理解を深めるVRソリューションや学びを深めるための各種研修の全体設計、イベントの企画を行っています。特にVR活用では、今回の事例で挙げた障がい者理解だけに限らず、「自分とは異なる視点での実体験を以て理解し、学びを深める」という観点で多様なご支援をしてきました。地域創生を目指す長野県伊那市様や、観光客を誘致する京都府宮津市様など、その用途は様々です。単なるVR機器の使用ではなく、ICTを効果的に活用し、真の理解や学びを深めるソリューションとしてのご支援が可能です。